NDL調査研究2013 「公共図書館における地域活性化サービスの創造」(参加報告)

報告会からかなり時間が経ってしまいましたが,参加報告をまとめましたので掲載します。なお,本報告は@Mabeshibaの私的なものであり,内容について参加者をはじめ関係各位に確認を取ったものではありません。もし事実誤認がありましたら,Twitterアカウント@Mabeshibaまでお知らせください。


1.はじめに

 国立国会図書館平成25年度図書館及び図書館情報学に関する調査研究報告会「公共図書館における地域活性化サービスの創造:あのサービスはいかにして生み出されたのか」(国立国会図書館東京本館,2014年2月24日)が開催されたので報告する。

 報告会では,まず第一部で地域のための図書館サービスに取り組んでいる4つの事例報告があり,続く第二部ではそれら事例に対する研究者による分析と,それを受けた上でのディスカッションが行われた。

2.第一部「事例報告」について

(1)「農業支援サービス事始め」手塚美希氏(柴波町図書館)

 柴波町は岩手県盛岡市の近郊にあり,主産業は農業である。図書館は開館して1年半あまりであり,民間施設を含む3つの施設の一部に図書館がある。柴波町図書館が農業支援サービスを始めた理由は,町の基盤が農業であり,農業はビジネス支援になりうるとして設置時から農業支援を意識した。

 農業支援サービスの実施に当たっては,農林課や農林公社といった外部組織との連携が不可欠であった。これら外部の専門家を通じて,利用者となる農業関係者のニーズや図書館における情報発信に対する理解を得ることができた。特に図書館において特別な専門性を求められるのではなく,図書館は外部の専門家への橋渡し役であるという点がポイントであった。

 具体的な事例としては,関連資料の収集・提供,企画展示の実施,オンラインデータベース「ルーラル電子図書館」の導入とその講習会などがある。その結果,多くの農業関係者と人的交流を得ることができたほか,専門技術以外のレファレンス質問を受けることも多くなったとの報告があった。

(2)「ICT地域の絆保存プロジェクト」加藤孔敬氏(東松島市図書館)

 はじめに震災3年目を迎えた東松島市の現状とこれまでの取組みについて,時系列を追って説明があった。これまで来館型配本サービス,移動図書館の運行,仮説住宅内の小規模,学校図書館支援など,ボランティアの組織化・協力を得ながら実施してきた。そして震災3年を向かえ,震災記録の収集・整理・保存にも取り組むようになった。

 この事業は「東松山市復興まちづくり計画」の一環として実施している。収集対象はメディアに掲載された震災記録の収集に加え,震災写真や震災資料,そして市民の震災体験談が挙げられる。これら収集した情報は,資料の製本化,デジタル写真に対するメタデータの付与,スクラップ記事にバーコードを調布し,見出し索引を作成することで資料アクセスできるよう試みている。また現在取り組んでいる課題として,震災体験の映像アーカイブ化があるとの報告があった。

(3)「高齢者福祉施設訪問サービス『元気はいたつ便』事業報告」河合美奈子氏(田原市立中央図書館)

 田原市では図書館に来館することができない利用者,特に高齢者福祉施設の入所者に対する訪問サービスとして『元気はいたつ便』を実施している。『元気はいたつ便』は光交付金に基づく事業であり,市内3施設のみを対象とした試行的な事業と位置づけられている。

 プログラムは大きく分けて二つあり,一つは「グループ回想法」,もう一つは「元気プログラム」である。「グループ回想法」は数名のグループを対象に,昔の写真や博物館から図書館に貸与された生活用具などを用いて,かつての体験を語り合ううちに脳を活性化することを図るプログラムである。また,「元気プログラム」は紙芝居や大型絵本の読み聞かせなどからなるレクリエーションと,数十名を一度に対象とし,20分程度の短時間で実施するミニ回想法を実施している。さらに,これらとは別に団体貸出を実施しており,市内13施設を対象に月1回の頻度で実施している。

 その他,訪問サービスボランティアの養成を進めているほか,今後のサービス検討のため期限付き訪問サービスを5施設に対象に実施する。これを踏まえ,本格実施への移行を進めたいと考えている。

(4)「リトルプレス『そこら』作成について」山梶瑞穂氏(東近江市八日市図書館)

 東近江市は旧八日市市をはじめ近隣の自治体が合併してできた自治体である。図書館は教育委員会の直轄であり,図書館単体で様々な事業取組みが可能な組織となっている。

 リトルプレスとは限られた場所でのみ販売されている個人や団体が発行している小冊子である。これに着目した理由は,地域の情報収集や情報発信に有益であると考えたためである。

 リトルプレス収集は,各地のリトルプレス展に直接参加して収集する他,ネット書店の活用や,出版元からの直接購入などで行っている。全国を対象とし,現在170冊所蔵している。これらは利用者に対して貸出もされている。

 また情報発信においては,リトルプレス「そこら」を刊行している。刊行のきっかけは,図書館からの情報発信を行いたいとの思いや県内のリトルプレスの存在,職員内にリトルプレス作成経験者がいたことなどが挙げられる。

 刊行にあたり,図書館には印刷費が無かったため市の「緑の文献改革課」の協力を得て作成した。また記事は館内の若手職員が協力してインタビュー等を行い,東近江の魅力を伝えるものに作り上げることができたとしている。

3.第二部について

(1)調査研究分析「地域活性化に向けたサービスの分析」松本直樹氏(大妻女子大学

 事例報告に引き続き,研究調査チームより本研究の分析報告が行われた。報告に先立ち,主査の田村先生より本研究が質的調査であり,これらの事例から一般的な傾向を図ることを目的としていないこと,個々の事例の過程を明らかにしたい旨の説明があった。

 はじめに研究の枠組みとして,地域活性化に貢献する図書館サービスがどのように始められ成長したのか,図書館による地域活性化サービス化がどのように行われたのか,の二点を調査することが示された。なお,ここで言う地域活性化とは,地域資源の活用や住民のコミュニケーションの活発化,地域情報の発信・交流などを指している。

 次に研究方法が示された。まず調査対象の図書館としてこれら4つの事例に加え,ピッツバークカーネギー図書館を取り上げることとした。対象の選定は,①地域活性化に貢献しているサービスを実施または策定中であること,②奉仕人口が大きくなく自治体規模に応じた資料費があり,貸出密度が比較的高い地域であることであった。これらの事例について,実際にサービスに携わる職員に報告してもらい,研究者は報告書の作成に対する助言やサービスが成功するポイントの指摘,各サービスが地域活性化にどのように貢献できるか,といった分析を行った。分析の結果は以下のとおりである。

1)「地域課題の発見」

各事例とも地域にある課題を人的交流により発見し,それを図書館の持つリソース・技術で解決しようと試みていた。

2)「内部資源の活用」

 図書館の内部資源には人,物,予算,知識などがある。特に人的資源においては,専門的職員の持つ知識を活用していたほか,職員の身分にこだわらず図書館に所属する人材をフルに活用していた。また予算においては外部資金の利用や外部組織の予算の活用を図るなど工夫が見られた。

3)「外部資源の活用」

 外部の団体,個人との情報交換を積極的に行っていたほか,事業実施にあたり他団体との連携が図られていた。連携の特徴として,いずれも地域志向であること,公共的な価値を推進することを目的としていることなどが見受けられた。

4)「事業遂行上の課題」

 各事例いずれも試行的な取り組みであり,職員側もノウハウ不足でありながら事業遂行の過程でノウハウを取得していた。また利用者のニーズを利用者とのコミュニケーションの中から抽出し,サービスにつなげていた。実施体制においては,限られた人的リソースにおいて内部で協力しながら,時に外部の人材と連携をして事業を進めていくなど工夫が見られた。

 

 最後に,これらの事例が示すこととして,外部から知識を取得していくプロセスが重要であること,これらの特別なサービスが図書館サービスの一部として取り込んでいくことの重要性が指摘された。

(2)ディスカッション「地域のための図書館サービスのつくりかた」コーディネーター田村俊作氏(慶應義塾大学)ほか

 ディスカッションは事前に会場から寄せられた質問に加え,コーディネーターからの質問に対して事例発表者が回答する形式で行われた。質疑は主にサービス内容,内部資源の活用,外部資源の活用に焦点を当てて行われた。

 まずサービス内容については,サービス導入のきっかけや具体的な実践方法などについて質疑が行われた。いずれも目の前にある課題をどのように解決するか,解決策を模索するうちに事例に取組み,発展していったことが伺えた。

 また内部資源の活用においては,通常業務との兼ね合いや実施体制に関するものが多く見られた。各事例に共通する点として,一般業務へのしわ寄せや,図書館がそのサービスを行う意義などについて声が無いこともなかったが,全般的にスムーズに進められる環境であったことが明らかになった。

 最後に,外部資源の活用については,予算等を要する事業について,事業継続性に対する質問が寄せられていた。いずれの事例においても,予算の一般化や他の外部資金獲得を目指すなど,事業継続性を高める努力がなされていることが明らかになった。

4.おわりに

 最後に参加者としての所感を述べる。本研究は質的調査であり,これらの事例から地域活性化サービスを実施するための一般的な手法を検討するものではない。しかしいくつかの点において,参考になるポイントがあったのではないかと考える。

(1)地域課題の発見

 地域にはその自治体特有の特徴がある。産業,人口構成,文化などに差異があり,それらに基づく潜在的な情報ニーズが存在する可能性が高い。今回の事例報告では,図書館が外部に出て情報ニーズを把握することが積極的に行われていた。特に地域の住民や団体,他の行政部局とのコミュニケーションによってそれらニーズが発見されていた。これらの手法を用いて地域課題を発見することで,地域の埋もれた情報ニーズの発掘と,図書館として取り組むべき課題の発見につなげることができると考えられる。

(2)事業実施体制

 図書館には様々なサービスがあり,日常的なルーチン業務をこなすだけでも精一杯という図書館が多いことは想定される。

 しかし今回の事例では,通常の図書館サービスを実施しながら新しい地域活性化サービスの実現している。その理由として,事業に対する図書館全体のコンセンサスと,事業遂行におけるリーダーシップの存在が挙げられる。このように事業実施体制が確立していれば,通常業務の隙間時間等や外部資源を活用して新しい事業を進められる可能性があると考えられる。

(3)外部資源の活用

 今回の事例では図書館が事業の主体となりつつ,予算面,人材面で外部資源の協力を得て実施しているケースが見受けられた。

 予算においては外部資金の活用が多く見られた。競争的資金に申請するほか,行政他部局と共同で事業を実施して他部局の予算で執行するなど,工夫次第で図書館自体の予算を用いなくても事業が実施できる可能性が示された。また今後の課題として,海外では一般的となりつつあるファンドレイジングの活用なども考えられる。

 人材面では外部人材のノウハウを活用するほか,ボランティアの育成をはじめ,サービス実施のための協力者を作るといった手法が見受けられた。ここでのポイントは,事業の主体が図書館であり,全体のコーディネイトを図書館が主体的に行っている点である。事例では,事業全体の計画や実施方法の策定は図書館が適切に管理し,外部の協力者に対しては適切な指示,依頼をすることによってサービスは円滑に行われていた。こうした手法は他の自治体にとっても参考になるものと考えられる。

 おわりに,今回の報告がもたらす可能性について述べたい。公共図書館は,昨今の人員・予算体制の下,必要最低限のサービスしかできていないというケースも多いと考えられる。しかし今回の報告では,地域課題を解決するという図書館としての明確な意思と事業管理によって,限られたリソースでも新しい事業を行えることが示された。この報告を踏まえて,こうした実践がさらに広がることを期待したい。

(@Mabeshiba)





図書館を支える人々[記事紹介]

"The Metro West Daily News"3月1日付けの記事において,マサチューセッツ州ウェストボローにおける図書館活動について,図書館を支援する人たちの声を紹介しています。

 

"legislative breakfast"活動の代表者によると,学校図書館公共図書館はより多くの予算と支持を必要としているにもかかわらず,2009年には1億ドルあった予算が現在は6,800万ドルまで減少しているとのことです。支援者たちは,とりわけ電子書籍をはじめとする電子情報にアクセスできないこと(digital lockout)の解消を目指しています。電子書籍は2005年当初と比べ5000%も出版数が増えており,住民の83%が州全域における電子資料へのアクセス性の確保を望んでいるとしています。一方で公共図書館電子書籍入手のために一般的消費者の平均$12.99より高い平均$74.85を支出しており,電子書籍提供サービスの維持に苦労しているのが現状です。

 

ウェストボローの学校図書館インターンをしているMary Donahueは,現在の情報資源が将来の学生のためにきっと役立つと信じています。貧しい地域における図書館への投資が,地域の学習に役立ち,地域の学習レベルの向上につながると考えているのです。

 

またTamar Gelber( The president of the library’s Teen Advisory Board)は自らの経験を踏まえながら,彼女の読書スタイルを伝えていきたいと語っています。彼女によると,学生支援者たちはカフェエリアを作る計画をたてており,そのために図書館でランチを取りながら議論をしているとのことです。

 

Breakfast活動は多くの上院議員,各図書館団体らに支えられています。イベント期間中はたくさんの学生スタッフがコンピューターの使い方や学習支援のために待機しているそうです。

 

ref;

1. Supporters stand up for libraries | The Metro West Daily News /  By Ann Kenda Daily News correspondent  Posted Mar. 1, 2014 @ 5:38 am http://www.metrowestdailynews.com/article/20140301/NEWS/140309791/11514/NEWS (Last Accessed 2014-03-04)

2.Legislative Breakfast Toolkit | Massachusetts Library Association http://www.masslib.org/ToolkitBreakfasts (Last Accessed 2014-03-04)

3.Westborough Public Schools http://westborough.ma.schoolwebpages.com/education/components/scrapbook/default.php?sectionid=1 (Last Accessed 2014-03-04)

NDL調査研究報告2013「公共図書館における地域活性化サービスの創造」(私的メモ)

 

表記報告会に参加してきました。以下は別の目的のために個人的に取ったメモです。興味がある方は参考までにどうぞ。

なお,本文章は個人的に取ったメモであり,発言者の実際の発言とは異なります。また発言者の意図と異なる記述になっている可能性があります。問題があればお知らせください。(@Mabeshiba)

 

*近日中に消す予定です。未整理で,文章として整っていませんが,残してほしいという声もいただきましたので,当面残すことにしました。何かの参考になれば。

 

はじめに(事務局より)

新しい事業に取り組む4つの図書館。本研究では,これらの事例においてその実現のために,図書館経営資源をどのように用いてきたのか,またどのように人的ネットワークを構築したのか,そしてどのように地域活性化につなげてきたのか明らかにすることを目的とする。

 

第一部 事例報告 事業プロセスの説明

1.「農業支援サービス事始め」手塚美希氏 紫波町立図書館

(自治体・図書館について)

・開館1年半,小さな図書館でもできることを伝えたい。

岩手県盛岡から電車20分,ベッドタウン 239平米㌔ ,農家は全体の26% 酒蔵,ワイナリーあり,豚,牛,果物

・図書室開館して50年で初めて図書館が開設された

・直営,一部業務委託,町長部局に位置づけられる。企画課が運営し,職員も企画課に所属する。まちづくり支援を目的とし,ビジネス支援情報がまちづくりの基本と考えている。

・30万人来館,BGMが流れる図書館。敷居の低い図書館を目指した。

・オガールプロジェクトにより,オガールプラザが設置される。3施設の中央が図書館+交流館となる。

・西棟 農産物直売所あり。

・交流館にはキッチンスタジオなどあり。

・企画展示。交流が容易に

→連携イベント例「図書館,農林課,食の匠,キッチンスタジオ」

 

(農業支援サービスについて)

・農業支援の理由,町の基盤産業,農業はビジネス支援になりうる。設置時から農業支援を意識しており,開設時に資料800冊,現在は1000冊。農業雑誌,農業DBあり。

・設置前に生産者アンケートをした。後継者問題,六次化産業,農林公社設立予定などが関心事であることがわかった。

・ビジネスライブラリアン中級公衆で試案作成が,これは没に。

(ここまでが開館前までの準備)

 

(実施にあたり)

・動くまでは内部的反対も,余力もなし。

・農林課・農林公社と連携可能に(当該ポスト者の支援による)

・農業関係者から意見を聞く(農林課を主体として)

 

→5つの気づき

(1)出向くサービスの必要性

(2)専門性への橋渡しをすればよい

(3)農家の農業に対する考えが違う(万人向けには無理)

(4)地域の情報を発信できること

(5)農家の声を聞かなければいけない

 

(農業支援サービスの実際)

・企画展示「しらの農を知る」関連団体に連絡し,農家を紹介してもらう,農家と直接対話することで意図を理解してもらえた。また,多くの農家とコネクションが出来た。

・ルーラル電子図書館の講習を急遽実施(2回,企画展示後の方が申込み殺到)

→若手農家に需要が高かった

・産直農家資料,産直巡りを支援する予定が,8/9の大雨災害に会う。→激甚被害のため企画は中止。

・応援のため。紫波町マルシェを使った企画展示を実施。産直は日々入荷が違うため,資料ポップの位置を変更する必要があり

 

(今後について)

・3月に再度ルーラル電子図書館の講習会を行う。

1月から月1回,こんびりカフェ。→農業に携わる人々の交流,司書は資料紹介。参加者からは前向きな評価。

・技術的なこと以外のレファレンス質問を受けることも増えた。

・地元新聞等でPRをしたい。

 

(気づいたこと)

・図書館員はアウェー,アウェーであることを想定して交渉している。

・来てくれるのを待つのではなく,相手側に入っていく。(終わりに)を参照

・コミュニケーションを土台にサービスしていきたい。

 

2.「ICT地域の絆保存プロジェクト」東松島市 加藤孔敬(よしたか)氏 

(震災直後からの動き)

・震災時,震災3年目。被災地の現状から。1100名死亡,行方不明あり。仮設住宅住まいが6000名ほどまだ残っている。

・アニバーサリー反応。3年経って震災の記憶がフラッシュバック,

東松島市,人口4万,メッセ気100キロ平米,石巻の西隣り。

・「だれもが本に親しむ町」H22 刊行。

・住宅地の65%が浸水,図書館は幸い津波被害はなし

・避難所に図書を置いてみた,大学生が読み聞かせなどしてくれた。

・自治体派遣で熊本市職員が紙芝居をしてくれた

自衛隊員への支援(支援の支援),ちょっとした気分転換になればと。

・6/1から開館,来館型配本サービスを実施。とにかく本を配った。

移動図書館熊本市から貸与)仮設住宅に本を配る

・施設日本を配るためにボランティアを募集(日図協ML,文科省ポータル)

・学童に資料配布,仮設住宅内に小さな図書館を作る。今でも資料は入れ替えしている。

・資料だけではなく,支援者へ感謝の表現も必要。

・「サマーサンタクロース作戦」

アニバーサリー反応に対して,小中学校12校(全体14校)に学校図書館支援,資金は図書館支援機構から,人的には日図協から。

・事業の位置づけ,震災を語り継ぐ。「東松島市復興まちづくり計画」

・震災の体験談の記録に取り組む。 ふるさと再生,だが風化させない。 

収集,整理保存(市民の震災体験談,震災資料,震災写真,関連記事の収集)

・体験談に協力者100名ほど。

・資料を集める・・チラシ,資料など

・整理する・・製本など。日図協の支援を得て。デジタル写真の整理もしている。現在メタデータを作成しており,年度末までには9000枚ほど。スクラップ記事にバーコード,見出し付をしている。

・ワークショップの開催 震災の壁新聞づくり(子ども)。これは防災科研と共同で。

・体験談を伝えることが困難な方でも記録が残せるように,津波の高さマップにシールを貼付してもらうなどの試みも。

・地域の定点観測を行なっている。復興の進み具合ががわかるように。NPO法人東北アーカイブの協力により,復興の様子を記録している。(東北大学が間に入って実現)

・これまでは社会福祉協議会と連携していない。(情報は)なかなか図書館に直接来ない,外に出て行って集める,ノウハウをためていく。

被災地見学ツアーにおいて,体験談を話してもらう。(市民の中で,体験を話せる方)

・さまざまな模索。修学旅行で来た学生に,ただ話を聞いてもらうだけではなく,図書館資料をみてもらうなど。支援に対するワークショップに参加してもらうなど。

 

(今後について)

・市街地復興を目指して。産業化農業の再生,観光資源開発,修学旅行での被災地支援や見学への対応。

・アーカイブ,パンフレットの作成。語り手の効果的活動(Ipadなどを用いて),震災動画を作成したい。

 

(事例)震災体験の映像記録

・映像を残す意義。話す側の効果もあるのではないか。「アーカイブ効果」

→話すことで軽くなった。避難所に詰めていた者の状況は皆一緒。こうして話を聞いてもらえることで少しすっきりする。幾らかでもご飯が食べられる。

・語り部のオファーを受けた理由。

→思ったことが出し切れていない,誰かが一歩進めばみんなもついてきてもらえるのではないか。

・図書館としては記録として残したい。後世に記録が残ることについてはどう思うか。

→いろんな取材を受けたが,ここだけではなく全国で見てもらえればいいと思う。

 

3.「高齢者福祉施設訪問サービス」田原市立図書館 河合美奈子氏

(自治体・図書館について)

田原市。愛知県,渥美半島ほぼ全域。人口6.5万人。

・図書館サービスについて

田原市図書館の目標。だいこうもく1,2が発表関連。

 

(事業実施まで)

・「元気はいたつ便」,光交付金を元に

・図書館で新しいサービスを検討する際に,館内コンペティションを行う。その中で,提案1「回想法」,提案2「アウトリーチサービス」案が残り,双方を組み合わせて館長が提出,採択。

文化財課,博物館との協力,昔の生活道具を借りる。回想法ツールの一つとして使用。

(「元気はいたつ便」について)

・「元気はいたつ便」図書館に来館できない,高齢者福祉施設への訪問サービス

・「訪問サービス」グループ回想法,元気プログラムのいずれか。対象は3施設。

・試行時の条件。中央図書館から近い,受入体制が整い協力が得られる,2−3施設まで,障害者がいる場合には軽度であること。

・「グループ回想法」とは。昔の写真や生活用具を用いて,かつての体験を語り合ううちに脳を活性化,サポートが必要な場合にはサポートを入ってもらう。

・回想法の約束。話した内容は参加者全員ここだけに留めることを約束。

・道具を手にとってもらい,回想に結びつける。悲しい思い出につながることも,難しい。耳を傾ける,参加者に寄り添う,待つことが大切。

・「元気プログラム」・・レクリエーションとミニ回想法。ミニ回想法は大勢を対象とした20分程度のもの。施設ごとに参加者の状況も異なる。

・紙芝居。大人向けが少ない。同時に二つ紙芝居を使って実施したことも。大型絵本の読み聞かせも実施。

・「団体貸出」利用者はスタッフが必要とする資料を提供。月1回,13施設。リクエストあり,アンケート回収。

・「元気はいたつ便専用カード」あり。

・よく使われる資料について。

・回想法研修。図書館員+地域の方に知ってもらうため。

・利用実績。H24団体貸出サービスの対象拡大,元気プログラムが始まる。

・H25は大きくサービスは変わっていない。担当者が4→6名へ。(うち一人はアドバイザー)

・訪問サービスボランティアの養成を行なっている。全4回。8名の申込あり,継続して7名が参加予定。

・「しおさい大学」での回想法講座にもボランティアに参加。

・期限付き訪問サービス。今後のサービスの検討のため。先着4着を対象とした。その結果,全体で13施設申込みあり,最初に同時に申し込みがあった5施設に実施することに。

・評価として,「また来てほしい」とのアンケート回答あり。

・H26の目標。ボランティアのサポート。サービスの見直し,本格実施への移行を2,3年中に行いたい。元気はいたつ便は協力者の存在あってこそ,市機関・病院など他機関と連携が必要。

・元気はいたつ便がまちづくりのきっかけになれば。

 

4.「リトルプレス『そこら』作成について」東近江市八日市図書館 山梶瑞穂氏

(自治体・図書館について)

・地域の情報の収集,発信を行うことを目的としている。リトルプレス「そこら」を作成。

滋賀県内5番目の市。人口11.6万人。高齢化率は全国平均。近隣の大型施設に人が流れている。特定企業あり,市の財政に貢献。日本の縮図。

・図書館について。八日市市立図書館を中心に活動。図書館教育委員会直属。(生涯学習課を挟まない)

・市内の各館で収集分担を行なって資料収集している。

・他部局との連携。積極的に。

・地域と行政の連携ネットワーク「みちぶしん」

・行政にブラさがならない,プラス思考,連携の面白さを知ること。

・市民活動が活発化した理由・・売り手よし,買い手よし,・・(三方よし)

・環境への取り組み。自然環境に関する資料の収集,提供をしている。

・環境コーナー「風倒木」無農薬コーヒー

 

(リトルプレスについて)

・「リトルプレス」への着目・・限られた場所でのみ販売している個人・団体が発行している小冊子のこと

・「リテルプレスの収集展示」を行う。

・収集方法。→各地のリトルプレス展に出向く,ネット書店から購入,出版元から直接取り寄せ

・全国を対象,現在170冊。貸出もしている

 

(リトルプレス「そこら」作成)

・図書館からの情報発信,以前刊行していた「筏川」復刊への思い,県内のリトルプレスの存在。

滋賀県立大学が刊行する「湖国」?など,リトルプレスの背景あり。

・作成するにあたり・・図書館には印刷費がない。十数万円で作成できる,

「緑の文献改革課」へ図書館から企画書をもっていく

・作成プロセス・・資料スライド7枚目。20〜40代の若い職員7名で作った。

・東近江の魅力を伝えることを目的

・取材を通じて。インタビューの中で,女性の台所仕事の大変さなど思いを通じてレシピを作ってみたいと感じた。別の取材で農業高校を取材した時,高校でそのレシピどおり作ってみた。さといものおはぎ。

・チームプレーの背景。(緑色)図書館が動きやすい組織だったため。

・効果。図書館ネットワークの広がり。ゆくゆくは市民と作りたい。

・他部局他との連携ができた。

 

第二部 ディスカッション「地域のための図書館サービスのつくりかた」

(コーディネーター)田村先生より

この4館を取り上げている。それぞれの地域と関わっているプロジェクト。それぞれユニーク。共通項を探す話ではない。なぜ図書館がそれに携わるのか,図書館がすることなのかといった話があった。図書館としてどういう意義があったのか,地域のどういう役に立つのかという話が個々の事例から明らかになるのではないか。またその実現までの苦労,克服の過程が明らかにできれば。

 

(研究報告)「地域活性化に向けたサービス策定の分析」松本直樹先生(大妻女子大学

(研究の枠組)

・地域活性化に貢献する図書館サービスがどのようにはじめられ成長したのか

・図書館による地域活性化サービス

(地域活性化とは)

地域資源の活用,住民のコミュニケーションの活発化,地域情報の発信・交流

・結果:文化振興

 

(研究方法)

・4つの図書館を選択,サービスにより報告を,レポートも作成

・研究者は報告書の作成の手伝い,背景を含めて事例の理解を深める,成功のポイントについて気づきを促す

・サービス策定が成功するポイントを整理

・外部の視点から各サービスが地域活性化にどう貢献できるか

 

(調査対象サービス)

・地域活性化に貢献するサービス

・萌芽的サービス

→新しいサービス,策定を進めている事例

 

(萌芽的サービス)

・策定中のサービスを対象にした理由

記憶がフレッシュ,苦労・困難・工夫を教えてもらえるのではないかと

 

(調査対象)

4事例+ピッツバークカーネギー図書館(YA,受刑者サービス)の事例も含む

 

調査対象の基本データ

・奉仕人口は大きくない,資料費も自治体規模に応じて,貸出密度は比較的高い地域

 

(研究の留意点)

・萌芽的サービスなので,実現されない・継続されない可能性

・内部者からの視点なので,内部のやりとり(首長部局,議員との)が残らない

 

(サービスの特色)

4つの事例の復習

紫波町・・農業支援,コレクション提供・DB・講習会・企画展示・レシピ本のPOP→ビジネス支援だが農業が新しい,場所としての図書館機能がうまく働いている,レシピ本のポップ情報発信

東松島市・・体験収集,カツオ同記録,収集,整理公開・・地域資料サービスに近いが,新しい技術を使ってデジタル化,メタデータを付与が新しい。伝統的な図書館では複製メディアを使うが,人の記憶まで集めている点が新しい。

田原市・・訪問サービス,団体貸出。図書館は外に出ていく。高齢者にアプローチするのは今後需要があるのではないかと考えたため。

東近江市・・リトルプレス「そこら」作成発行,収集だけではなく情報発進も,地域資料,リトルプレスによる発信が新しい。

 

(地域課題の発見)

・ 地域にある課題を見つけて,それが図書館が持っているリソース・技術を用いて解決しようとしていた。

・ 発見の仕方。地域の人との会合,交流などを通じてが多かったようにおもう

 

(内部資源の活用)

・ 人,物,予算,知識

・ 図書館内部・外部をどのように活用していたか

図書館人的な資源を活用されていたのではないか。専門的職員の持つ知識。

そうした時に正規職員にこだわらず,いろんな雇用形態の人材を活用しているのが特徴。

人的ネットワーク。図書館外のネットワーク。東松島などは色んな所に出ていった。語ってもらって。隙間時間を活用していたように思う。

・ 予算。東松島と田原は外部から予算を確保している。最初はお金をもらって,それを機会としている。東近江市は他課予算から。

 

(外部資源の活用(知識))

・ 様々な団体個人との情報交換など,研修など

紫波町東松島市ともに,いろんな団体と連携。傾向は二つ。「地域志向」「公共的な価値を推進する」

 

(遂行上の苦労)

・ ノウハウ不足。やりながら学ぶ事が多かったようにおもう。

利用者・利用対象設定者とのコミュニケーション。利用者からニーズが出てくる。紫波町のじれいなどから。非常に丁寧に受け止めていた。

・ 限られた人的資源でのサービス。しわ寄せが組織にくることも,それは難しい。他から資金を得た場合など。田原,東近江など,地域のボランティアとの連携なども。

 

(事例が意味するもの)

・ ノウハウ。外部から知識を取得して学んでいくプロセスが大切だったのではないか。

・ 一定期間の中で,図書館のルーチン業務に取り込ん無必要も。

・ 図書館サービスはいろんなサービスが組み合わさっている。田原。全体のサービスに組み込んでいくことで相乗効果がでた。

 

「ディスカッション」について

*青=コーディネーター(田村先生)から。会場からの質問を含む。

 

(サービスについて)

田村;図書館を作る時点でビジネス支援が決まっていた。それを紫波町で農業に絞り込んだ。町の基幹産業・経験がある。他の例(栃木県小山市立図書館)なども挙げていたが。いきなり農業というのは。

  • 紫波町・・公民連携室の所属し,あとは農業関係者。紫波町はほとんどが農業関係者。当然のことであると考えられた。図書館がなぜやるのかについては,疑問を持たれなかった。

 

実施したあとも試行錯誤だったが。ポイントは。

  • 紫波町・・何をしていいのかわからない。農家は図書館に行かないという前提が言われた。4−12月が農繁期。図書館には何をしても行かない。では何ができるのか。自分たちが何をしたらいいか,そこがポイント。直接農家にはいけなかったので,あいだを入れて,農家からニーズを聞いた。

 

企画はできるが,農家は乗ってくれるのか。

  • 農政公社の信頼が大きかった。そことのパイプが大きかった。

 

東松島。計画的にサービスをしていたような印象を受けたが。活動が徐々に広がり最後はアーカイブ。資料を届けるのは図書館サービスの基本,そっからさきはどのように。

  • 震災が起きた時に,震災が起きた2週間後市が動き出す。予算が凍結。なりふり構わず取り組みが(どこも)。やれるところがやれという雰囲気。図書館は自然に資料を。海上自衛隊の新聞なども集めて。神戸の市教委さかもとかずこさん。図問研MLに投げてくれた。その時には頭に浮かんでいなかったが,たまたま幸い出来た。

 

資料も集めているし,生の声も収集している。特に計画的ではなく?

  • 震災があった年,新潟中越が震災の体験談の投稿をやっていた。やってみたが集まらず。PR不足。気持ち的に書けない。体験談を一つ取り上げたかった。東松島の記録は資料になっていない。語らなれない資料は残らない。作業をする必要性を感じた。

 

他の震災の事例を通じて実施したということか。収集している資料の規模,個人情報著作権等は。

  • 新聞のスクラップ1万数円件。メタデータ付は白百合女子大の学生さんに。震災の体験談は150人位。追っかけている人を見る。語れなかった人が変わりつつある。追跡したい。
  • チラシ,避難所など。個人情報は一応覚書を。著作権は図書館に。やっぱり出さないでと言われた場合には取り下げている。心情的に対応するケースも。

 

田原。元気はいたつ便。どうしてグループの回想法を導入したのか,どういったものか。

  • 回想法を導入した理由。図書館にある資料を活かせる。図書だけではなく,多様なメディアがある。生活用具も借り受けて持っている。こうしたものが活かせる。児童サービスのノウハウを活かせる。お話会(子どもの気持ちに寄り添う)やりとり(コミュニケーション),レファレンスインタビューも同様。お話を聞き出すのは回想法に活かせる。少子高齢化が進んでいるにもかかわらず,高齢者サービスのメニューは少ない。そのきっかけに。
  • 高齢者/高齢者施設に対する十分な理解が図書館にもない。それらの知識を蓄積するのも理由。
  • グループ回想法は,もともとアメリカ。1980年台に入ってきた心理療法。昔の写真や生活用具を用いて参加者同士で体験を語る。介護用語でも使われている。田原の例は資料とは異なるかも。人数8人・45分で実施。

 

ミニ回想法も同じなのか。

  • ミニ回想法も。施設の用性に応じて。大勢で対応できないかという声に対応。レクリエーション食の強い回想法。大勢,短時間でレクリエーションの中に位置づけた。

 

交付金のコンペかったノウハウは。

  • 館長提案時に評価が高かったものを組み合わせて。天野さんが提案。アウトリーチ案と組み合わせた。最初は別々の提案が一つになった。館長が組み合わせて素案を作った。

 

元気プロプログラムの資料タイトルは

  • 絵がはっきりしているもの,ストーリーがシンプルなもの。子供向けではない。日本の昔話がもとめられる。もちもちのき。半日村。切り絵のような絵本。何度か施設で使った。具体的に使った資料はもっとある。後日。

 

サービスの評価方法は?どんな風に実施しているのか。

  • サービスの評価方法,試行段階ということもありどんどん担当内で改善の話し合いをしている。担当内の意見だけではなく,施設のスタッフの意見を聞いている。
  • 回想法であれば講師のうめのぶ先生のコメントも。参加者から寄せられた声も含めて内容を少しずつ変えている。必ず毎回核施設からアンケートを貰っている。それらの結果を踏まえて代えている。

 

東近江。図書館報でもなく,タウン誌でもなく,なぜリトルプレスなのか。

  • 比較的安価で作れる。地域の情報を独自の視点で作られている。資料価値も高いのでは。

リトルプレスをつくろうという動きと施設の場(リトルプレスを作った)のは。

  • 停滞化したコーナーの活性化。リトルプレスの展示を行ってみた。若い世代に受け入れられているか。

滋賀県立大との連携は。

  • 教室との直接ではない。

情報の集め方は。

  • リトルプレス展がいろんな場所に行って,収集した。図書館にリトルプレスを作った職員が居たので,そこのネットワークで。

開催情報等はどのように集めたのか。

  • 作っていると情報が入ってくる。リトルプレス収集のネットワークを通じて。

配布方法,予定は。

  • データでも発信する予定。道普請のネットワーク。ここにPRすると数百冊単位で出るとおもう。

 

(内部資源の活用について)

紫波町。図書館員全員でモチベーションや意識を維持する工夫。

  • それは自分も知りたい。

図書館内ではどうか。反発はないか。

  • ない。むしろ何をしたら良いか活発な意見交換が。人の関わりが面白い。

通常業務との兼ね合いは。

  • カウンターの合間を縫って。スキマ時間で。

 

東松島。ボランティアが大勢入っているが,集め方,運用は。

  • 震災直後。文科省ポータルサイトや日図協。つてで学生さんを集めたり。声を出すことを大切に。何らかの形で声を出し,賛同していただいた方が。ほとんどが県外の方。

声をかけるメディアは。

  • 電話で事務局に依頼。その後は日図協メルマガ。

呼びかけて戦力になるまでは時間がかかると思うが。

  • 学校との日程調整,窓口となるボランティア代表と調整。学生には作業をやってもらった。役割分担をして。
  • セッティングして進捗状況を確認,コーディネーター的な動きを図書館はした。ネットワークづくり。

加藤さんがいて,その下に各コーディネーターがいたのか。

  • ノウハウが有る人に指揮者になってもらって,作業を進めてもらった。
  • 作業手順は細かく指導していない。作業を「見える化」して先導者に依頼。作業を進めた。

 

田原。グループ回想法の担当職員の職制の違いがあるが,どうやって実施したか。

  • 職員2名組んで。北名古屋市に先進事例の視察。各々関連資料を読んだ。担当同士も話し合いを持った。あまり研修の場はなかった。

実施にあたっての反発は。

  • 昔の思い出は心に触れる。「怖い」という気持ちが生じる。大人が対象なので,子どもじみたものは出来ない。頭がいっぱいになって本当にできるのか,不安になった。現場で実施して学んでいった。

 

東近江。「そこら」を作成するノウハウは元々あったものを使ったということか。

  • 「筏川」という雑誌があった。そのノウハウはあった。「人と自然を・・通信」を作成したノウハウがあったことも大きい。

他の職員が取材に行ったりしているが,職員間の協力体制は。

  • 新しいことをするので館を巻き込む。選書会議を行うついでに,懸案事項を話し合う(週1回)。その場でリトルプレスについても報告していた。みんなで作っている感じだった。

 

(外部資源の活用)

 

予算と事業の継続性についてどう考えているか,質問がある。それぞれどうか。

  • 紫波町。通常の図書館サービスの一環で予算化。チラシ代程度。お金は大してかからない。特別に予算を組まずともできる。

 

  • 東松島図書館振興財団の予算措置後。震災後はいろんな助成金があったが,図書館振興財団はすっと通って。H25は消極的に。来年度は別の資金確保を考えて務めている。町の中で実施計画。頭だししておくと補正予算で計上することが可能なので,ある程度当初予算の中で頭出ししておくことで効果が。

 

  • 田原。光交付金。H22。H23お金は繰越。H24,ヒアリングで引っかかる。回想法講座の費用や専業職員,需用費なども出したが,継続して人の雇用は出来ないことを指摘されていたが,なんとか説得して予算獲得をした。正直ヒアリングの場で喋っていく中で,図書館サービスの財政部局等の覚えが悪くない流れを感じた。

 

  • 東近江市まちづくり共同化の予算で作っている。思いは同じだったので,予算の付け替えがうまく行った。継続的にやろうという話は出ているが,予算はまだ詰まっていないがなんとでもなる雰囲気。また要求できる雰囲気が。他の観光協会などと作ってもいいかも。

 

相手先にこだわらず?どうして簡単にできちゃうのか不思議。タブ局との連携においても,相手先から図書館に打診があったようだが,そういう空気なのか。

  • 道普請のネットワークというか,図書館内でいろんなつながりがある。

図書館が話を持っていけば常に聞いてくれる?

  • 普段から色んな所に顔を出し図書館サービスの理解を深めてもらっている。

取材における反応は?

  • 好意的であった。お盆の時期はけんもほろろと断られたが,リトルプレスの見本を持って行って理解してもらえた。

図書館が行うことは?

  • 特に町の中で異論はなかった

 

(連携について)

紫波町。出版社が選書した?

  • 出版社に選書してもらったことはない。資料に関する情報をいただきながら,図書館が主体的に選択した。

ルーラル電子図書館が来てくれる。どうして。

  • 農文協などに相談しているうちに,先方から対応してくれた。結果的に農業が活性化されるのならばと協力的だった。

 

東松島。アーカイブはどうやって。

  • 他でやっていた。うちでもやるということを伝えたらノウハウを得ることができるようになった。いろんな団体が来ているが,図書館に来ているのは東松島だけ。(他の自治体はアーカイブ広報課や危機対策課が主体であることが多い)。
  • 図書館が少ないので目立ったのかも。今は国立国会図書館などが始めたことで,すんなり事業は通りやすくなった。

話は加藤さんから話を出したのか。

  • そう。肖像権,著作権などはどうするとか,やっていくうちに。単に協力してもらうだけではなく返してもらう。

 

田原。福祉部局(統括部局)との連携は。

  • 現スタッフが福祉部局にいた(GL)。人を紹介してもらい,情報をもらった。地域包括センターの会議に出向いて説明させてもらった。

なぜ図書館がやるのか。

  • 自分たちもノウハウがない。図書館がやってくれるなら協力する,という感じ。

 

東近江。既にまちづくりのネットワークあって,職員レベルでかかわっていくのか。館としてのか変わりなのか。

  • 図書館として関わっている。図書館職員の中にもかかわりがあるが,館として参加している。

 

(最後にコメント)

それぞれのコメントを。

  • 紫波町。図書館として開館1年半,運営自体が安定していない。そこでできることをしようとしている。
  • 一番苦労しているのはニーズの把握。まだサービスとして確立しておらず,模索中。今後どういう方向に持って行ったらいいのか,そうしたところがまだ手探り。何をしたらいいのかわかれば,手が打てる。常にコレがほんとうに正しいのか,悩んでいる。
  • やる意義。農家はプロ意識が高い。一人ひとりの農業哲学がある。それに対して自分たちも向き合って,真摯にやっていかなければならない。そういう専門領域ではない,もっと広い知識,図書館で入手できるヒントを提供できればやる意義はあるのでは。

 

  • 東松島市。苦労したこと。取材に断られた。取材のPDF化,映像のノウハウが無い。未だに苦労している。マックのファイナルカットの使い方がわからない。
  • やる意義。文集を読んで涙組んでいた取材者がいる。どっかで物を残しておかないと,何らかの記録が。そうしたものが残せれば。観光地など浮かび上がれれば。10年後20年後の作業を今やっている。なぜするのかという声は仲間内ではあるが,やっている。

 

  • 田原市。苦労したこと。回想法。3年目を迎える今でも全員苦労している。帰ってくる喜びが大きいので続けたい。担当職員が少ない。現在の対象施設を拡大するときに難しさがある。来て欲しい,続けてほしいという声に答えていけるよう,どうしたらよいか考えても答えが出ない。
  • やる意義。今行っているサービスの意義は未だ質問を受ける。他の図書館サービスのノウハウが活かせるという点から,やる意義はあるとおもう。田原は娯楽が少ない場所。田原の図書館には沢山人が集まってくれる。人の集まる場,情報は心の場とし定義はあるのではないか。

 

  • 東近江市。苦労した点は殆どなかった。原稿がなかなか集まらなかった苦労はあるが。なんとかなると前向きにやって。困ったときに館長も助言が。
  • やる意義。認知度が高い方ではない。東近江はとても地味。今回,表紙写真を撮るにあたってすごく何の変哲もない路地裏がとても綺麗だった。地元の人にも,他の地域の人にも,図書館の役割を超えて東近江市としてアピールできるのではないか。

 

(研究チームから)

須賀先生。

  • 研究をはじめるにあたり,新サービスの取り組みは大変だと想定したが,非常にいきいきとして進められていて感動。最初の印象とはかなり違う。図書館については暗い話題が多いが,図書館の可能性を感じた研究だった。

 

池谷先生

  • 東松島の話に象徴されるように,あらゆるところから図書館の外の人とコミュニケーションしてこそこういうサービスが出来たと実感できた。他の図書館にも使えるのでは。